行軌作法 (P181) 法要式の行軌作法は「充洽園礼誦儀記」を基本とし、諸書を参照取捨勘案の結果、必須の事項を説明したもの。 ◎二大得意 (P181)     法要式を行う当り、最も基本的な心構え。  @尊重(精神)    まさに行われようとする法要に敬虔尊重の念を持つこと。(誠意を捧げて深く敬う) A厳粛(態度)    法要式の始中終を通じて威儀厳粛であるべきこと。    (威儀=作法にかなった立居振舞い、厳粛=厳格で静粛)  (ノート) もし、法要中に失敗が有っても此の尊重・厳粛の心構えが有れば、法要が台無しにはならない。 もし、法要を技術的に立派に勤めても尊重・厳粛の気持ちが無ければ、信仰が伝わらない(感動の無い)無味乾燥な法要になってしまう。UEDA ◎七方便 (P182) 法要式についての必須事項を七箇条に分けたもの。   旧エ典は優陀那日輝の充洽園礼誦儀記の五方便(@〜D)   虚便の意味は三宝給仕の具体的あり方(事相)を示して、その中に含んでいる意味(理観)を体得させる手段という意味。  @定位本尊 A厳浄道場 B浄身整衣 C供養香華 D鑿ケイ調節(以上五方便)  E坐作進退 F式具作法  @定位本尊 法要を修する道場は必ず御本尊を掲げ諸仏諸尊を勧請する。止むを得ない時は、心に本尊を念じ諸尊を勧請する。(P183) A厳浄道場 道場を掃除し、光飾荘厳し、法器を布置し、道場を清浄にする。 (P183)   1、須弥壇上の荘厳 (P183) ○須弥山をあらわすもので御本尊を安置。須弥座ともいう。     ○本宗は四方壇を用いる。 ○顕教では本尊を高く仰ぎ拝するように安置するのが格別。 ○本尊の前には壇または前机を設け、三具足または五具足を安置。 ○打敷は本来粗末な物を覆って荘厳する物で、立派な須弥壇や前机に打敷を用いるべきでない。 ○打敷を用いる場合、浄土系の三角形の物は避ける。   2、須弥壇前の荘厳 (P185)     ○大前机を置き、三具足か五具足を安置。     ○焼香机を置き、机上は中央に香炉、右(時には前)に香合を置く。  ○焼香机の前に拝敷をしく。   3、経卓の配置 (P185)     ○「横(おう)の座」=礼盤左右の脇導師席     ○「侍者席」は礼盤前方に向かい合う     ○「一の側」、「二の側」は外側より数える。     ○二列以上の時は四尺程あけて礼拝しやすくする。     ○空卓が出来ないようにする。     ○左方に経蓋を置く余地を作る。     ○配列は曲がらない様に注意する。   4、座配 (P196)     ○式衆が三列以上の時、前列は後列よりも下位ながら、左方前列が首座 (キン座)となる。     ○会集の席は式衆と反して、御宝前に近い者が上位である。       B浄身整衣 色身浄潔、六根清浄にして心身快楽なさしめる。     ○七条の掛絡(から)の結び方は法要式参照。(P189 190)  C供養香華 香花灯明、茶菓肴膳を供え、諸仏に供養し衆生を利益す。(P190)   1、香 (P191)     ○線香でも蓋の有る香炉の場合は横たえる。火点は必ず左。(右遶の為) ○線香を立てる時は一本か三本で、必ず中心に垂直に立てる。 ○香を盛るとき(香炉の本義)は「コ」字形で火が右回りするように着火する。 「コ」を二つ以上つなぐ時は「弓」字形にする。 ◎焼香は導師・献香師・対揚導師は三回、その他の者は一回。 ○焼香三回の意味       第一 天魔波旬(魔性)を除くよう念じ       第二 仏祖の影現を念じ       第三 諸天善神の擁護を念じる。 ○仏像経巻等に手を触れる時は塗香で手を浄める。塗香は身の悪臭熱悩を除き清浄ならしめる為用いる。 (ノート) 右遶(うにょう=右回り)にする理由 UEDA @顕教 右遶 発心から涅槃を表す A密教 左遶 仏の救済の姿を表す   2、花 (P192)     ○「向上相」 花の表を本尊に向ける。     ○「向中相」 花を八方に向ける。     ○「向下相」 花の背を本尊に向ける。     ○日本では宇多天皇(867-931)の勅により「向下相」を用いる習慣となる。     ○「向下相」の意味は、花を供えた者・これを見る者を心を清浄ならし める為。 (ノート) 供えてはいけない花 UEDA      @ 有毒    A 悪臭  B とげ(とげを取れば可)の有る花      C 花粉の多い花  D 造花   3、供物 (P192) ○供物は須弥壇か別の壇の上に、高坏(たかつき)・三方等に左右対称  に盛る。 ○高坏は上に白紙を右が上になるように二つ織りにする。尖った三角の頂点が御宝前を向かない様に供える。     ○三方に「くりかた」(=穴の装飾)が有るのを三方、四方にくりかたの有るのを四方、くりかたの無いのを供饗(くぎょう)という。     ○三方はくりかたを正しく前に向ける。紙は敷かないのが本義であるが、供物が三方を汚さない為に敷いても良い。 ○三方の紙は一枚でも二枚でも構わない。余った部分は外に出す。     ○三方の「くりかた」は装飾であるので、三方四方に紙を垂らし「くりかた」を隠すのは誤りである。 ○精進供は仏前の野菜・乾物等を言う。 ○灯明・線香に点火した時、花・供物を供えたときは必ず合掌一拝。 ◎供物は 左に米・生果、右に塩・製菓   (ノート) 火が通った物、手の加わった物は右 UEDA (ノート) 三段盛  @上段が上位。 A上段 もち  中段 菓子  下段 果物 B一番下の段は台座なので供えない。UEDA  Dキンケイ調節 (P194)     鐘、鼓、鑿、ケイなどは、法要式の始終を報じ、気を通じ声を補い曲節を整えるのに用いる。(鑿=さく・のみ)(以上キンケイ調節までを五方便という)    ○特殊な法要式にはキン・ケイ・ニョウ・ハチなどは差定に記載すべきである。     1、梵鐘 (P195)     ○十方の僧衆を召集する為の物。三打・長打適宜。 ○時報の時は、時数を報じた後で「すてがね」を三打する。 2、半鐘 (P195) ○法要開始用意の為に鳴らす。     ○「四十下」 虚十・小より大に至る二十七打・三打     ○「五十四下」小より大に二十打・大より小に二十一打・小十打・三打 ○虚揩とは摩する様にする事。(音の無い状態) (ノート) 四十・五十四下は正確な打数を表しているのではなく、打ち方を表す。 (例 小から大、小から大 大から小) HAYAMI  (ノート) 自分の気持ちを凝縮させ、音の無い状態を作る事で緊張を高める。つまり、音にに出ない間と言う音がある。(虚揩) HAYAMI (ノート) 半鐘の最初から最後までを一通(いっつう)という。 HAYAMI   (ノート) 下は打の意味。(また 丁=打 ▲キン一丁) HAYAMI   3、太鼓 (P196) ○太鼓は大衆昇堂を報ずるもの。打数は適宜。 (ノート) いきなり大音響を出すとびっくりするので、小さく一打捨て打ちする。 (昇堂太鼓)   (ノート) 最後に三打捨て打ちする。(昇堂太鼓)   4、ケイ (P196)     ○ケイ子(けす)、打鳴(うちならし)、金マリ(かなまり)とも言い、小さな物を鈴(りん)とよぶ。     ○導師の礼盤昇降 七打は(大大大大小小大) 五打は  (大大小小大) 三打は  (大 小 大) ○二打の時は (大大) 経の終わり。読経中の文段の変更点で打つ。     ○引キン 5、ケイ (P197)     ○本来は石で造った物。     ○導師の発音前には一打ある。     ○唱題を止む時、一打で緩調(南無妙法蓮華経のナ)、終えて一打する。 ○回向は前二打・後で三打、回向の趣旨が全く変わる時は途中で打って よい。     ○別席の役衆が打つときもある。   6、木鉦 (P198)     ○葬祭仏事法要はバイを高く上げない。     ○祈祷法要の時は打った反動で高く上げて打つ。   7、ニョウハチ (P198)  序段 上段(勧請) 中段(供養)  下段(奉送)     ○本バチ 二、 四、四、三、三、 四、四、二、二、 四、四、一     ○略バチ 二、四、三、三、四、四、一  二、四、四、三、三、一  二、四、三、一  E坐作進退 節度を第一とし、すべて閑雅(風流)でなければならない。(P199) 1、正座 (P200) ○畳の縁(ふち)から約六寸(約18cm)あける。 ○両膝の間を約三寸(約9cm)あける。 ○目を二間半前に注ぐ。 ○両足は右親指の上に左親指を重ねる。長座の時は左右交互にしてよい。 ○左手で右手を覆って、親指は互いに交差させる。 ○念珠は普通左手首にかける。装飾数珠の時は左手に執り左上腿(もも) 伏せて置く。     ○扇子は膝頭から三寸(約9cm)隔て末広を左にして置く。     ○経席では数珠を執り叉手して手は鳩尾(みぞおち)に置く。   2、直立 (P200) ○両足の膝(ひざ)と踵(かかと)を付ける。     ○爪先を五寸(約15cm)あける。 ○前方五間(9m)先を注視する。 ○平服・改良服着用の時は左手で右手を覆って、親指は互いに交差させる。 ◎五条着用の時 左手に数珠、右手に中啓を執り、手は自然に下げる。   (ノート)手は肩から真下に垂らさず、少し前に垂らす。UEDA ◎七条着用の時 五条の状態から右手を鳩尾の辺に置く。 ○中啓を持つ時 末広の部分をやや下げて右腰の辺に置く。 ○中啓を持たない時は叉手をする。 (ノート)中啓の末広を向ける角度は五条・七条とも同じ。UEDA   3、整列 (P202) ○式場(本堂)以外の場所で集合。 ○静粛に導師の来着を待つ。 ○会行事指示で順番(座次)を整える。身長順にならぶ方が良い。 ○導師の左側を前部、右側を後部とする。 ○左右相互の間隔を整え、全列の屈曲を正す。 ○導師は会行事の案内で中央の上座に着く。 ○会行事は差定を示し、変更が有れば説明し徹底する。     ○左列末位(前部)には式衆でも誘導者として適宜な者を選ぶ、なるべく引者を一人付ける方が良い。 ?(ノート)集合する場所を集会所(しゅうえしょ)という。   4、昇堂準備及び退堂 (P203)     ○左足より出発する。 (ノート)・・昇堂太鼓が鳴ったら、・座はキン一丁して唱題の発音、二唱目より同音、  三唱目の終わりに一揖、キン一丁で四唱めより昇堂開始。(声明講習会) ○行道中に参加、整列してはならない。 ○傍観、回顧、笑談等は厳に慎む。 ○途中は玄関もしくは行道文を低唱しながら進む。隣の声が僅かに聞こえる程度が良い。高声に唱えてはならない。但し、伽陀等を唱えて進むときは別である。 ○行道文を唱えながら進むときは、一字一歩の割で進む。 ○唱題ならば南無が左足になるように進む。 ○前人より約三尺(約90cm)の間隔を保つ。 ○前人の上背を注視する。 ○入堂は、「下座入りの口上座」で一列で正面から入るのが正義。 距逕ユの後ろで本尊に一揖。 級E奥座、左奥座と交互に上座に及び、最後に導師が入堂。 ○普通は、「数珠繰入りの数珠繰立ち」で本宗ではたいていこの方法による。 旧苺前の後方に通路がない場合は変則として、御宝前に近い右方より左 列末位より入堂、退堂は右列末位より入堂の経路を逆に退堂。通路の具 合により逆(御宝前の左方?)もある。 旧苺前を過ぎる時は、遠近にかかわらず横進のまま一揖。 挙ア師が拝敷(礼盤)に着くのを待って、引キン一打し一斉に伏拝して着座。 ○曲がり方は、右折の場合は右足の前方に左足を斜め右に向けて出し、右足より踏み出す。左折はその逆である。 ○後ろへ向かう場合は、右へ転回。 挙人並んで展開する場合、互いに向かい合うよう転回。 ○正殿(お堂の中の階段)の階段を二人で昇る場合、外の足より(右の者は右足、左の者は左足)一段づつ揃って昇る。降りるときは、逆に内側の足より降りる。 (ノート)法要式の左奥座、右奥座の記述はミスプリント。 (ノート)引者は内陣入口で先導を終え、右側で合掌して式衆を迎える。 <堂外> ○堂外にては、叉手。(手に持ち物(中啓、花皿)が無い時) ○一間を約五歩の歩幅(約35cm)で緩歩する。 <堂内> ○堂内に入る時は、必ず叉手より合掌に移る。 ○左足より入堂。 ○畳の縁(へり)を踏まないよう注意する。 ○一間を約六歩の歩幅(約30cm)で歩む。 ○堂外に出る時は、入る時とは逆に、合掌より叉手、右足より退堂。 5、着座及び退座 (P205) ○御宝前を過ぎる時は、遠近にかかわらず横進のまま一揖。 ○導師が拝敷(礼盤)に着くのを待って、引キン一打し一斉に伏拝して着座。 (ノ-ト)・・引キン一打で唱題を一唱で止める。二打目で着座伏拝。金撃フ最初の一打で長跪。(声明講習会) ○着座 級E足を半歩(一長足半)引く。 牛カ足を引き付けて両足を揃える。 級E膝を地に着けるてから、左膝を着ける。 給N立・着座とも左右の足を同時にしてはならない。 ○経席では所定の姿勢(P200)を保ち、常に緊張する事。 ○起立 巨ウ座の場合は、両膝頭をついて腰を上げる。長跪の場合は直ちに左膝を立てる。 牛カ膝を立てて半歩前へ出し、爪先を右の膝頭にほぼ揃える。 距ァちながら右足を左足まで引き付ける。 拠ワ先を揃え、踵(かかと)を揃えて立つ。 ○退座は引キンの指示により、一斉に伏拝・起立・一揖して行進。 ○導師の御宝前所作 享c子を振る。 (ノート)・・拂子を御宝前に向け一揖(声明講習会) (拠キ跪して座具を伸べる。) 牛掌一揖 級E手で香合(名香包)を執って、左手に移す。 牛″の蓋を取って、衣盾ゥ焼香机の上に置く。 巨e指と人差し指で香をつまむ。(他の三本は揃えて伸ばす) 給アしく三氏B 牛″の蓋をして、元の場所へ戻す。 牛ナも敬謹の態度で起居礼する。(三宝礼の無いとき) 拠Aし、三宝礼等を行うときは合掌伏拝だけ。 (ノート)声明講習会では伏拝のみ。  ○導師の登礼盤 去揩ソ物を所定の位置に置く。 距シ手で衣帯をさばく。 牛カ右の順で膝を上げる。(顕教では必ず左進右退) 距逕ユの上で直立する事は厳禁。 挙ア師は御宝前へ出入りする時は、左から出て、右から復座する。 (ノート)・・中啓は @礼盤が一体の時  中啓の柄をケイ台の足に掛ける。 A礼盤が分割する時 ケイ台の足と足の間に置く。 (ノート)・・拂子は経机の右上。御宝前側に毛を垂らす。 (ノート)・・手が届かない場合、先ず手前に置き、着座して置き直す。 6.行道 P209 ○本宗の行道は右遶を以て本義とする。 (ノート)・・顕教は右遶 発心より涅槃をあらわす。 密教は左遶 仏の救済の姿をあらわす。UEDA ○行道は3回か7回すべきである。  3回は三業(身・口・意)、7回は七支(七覚支)を象徴。 (ノート)七支 智恵の面で仏教修行を7つに分類したもの。 ○式場の広狭、式衆の多少を考慮して、相互の間隔に注意。 ○数十人の場合、常香盤式行道(櫛(くし)の歯行道)でもよい。 (ノート)・・途中で立ち止まらないよう注意が必要である。 ○御宝前(檀前)を過ぎる時、各自が散華・立幡・灑水・焼香を行う。 ○普通は散華・経行に限られている。 7.散華 P209 ○意味 雨華瑞(うけずい)を表す。仏は華に座すので、仏を勧請し供養する意味がある。 (ノート)雨華瑞 此土六瑞の一つ。雨曼陀羅華。  ○散華は行道中、列立して行うもの。 ○華は多い方がよい。     ○散華の時は、 拠啓を胸襟にさす。 級E手の人差し指と中指に華を挟み 巨テかに額の辺に上げちょっと停める。 去闔を伸ばしつつ手を上に向ける。 去ゥ然に華を散らす。 ○行道中に華を踏む恐れが有るので、題目や経文等を書かないのがよい。     ○散華は普通「樒(しきみ)の葉」、「紙製の五色の蓮華」を用いる。   樒を用いるのはインド無熱池の青蓮華に似ている為と伝えられている。 ○大法会には金銀や極綵色(さいしょく)の絵画のものを用いる事がある。   8.灑水散華 P211     ◎法要の開始前、式衆の入堂に先だって道場を厳浄し魔障を除く。 ○散華師は衣盾ニ引キンと平柄香炉を持つ。(先行) ○散杖は「梅の木」の南方に出た若枝、楊(やなぎ)、竹等で作る。 長さは1尺5寸(約45cm)、末の切り口は2分5厘(約8mm)が適当。 (ノート)南方に出た若枝を用いるのは盛んと言う意味、又「高貴南面す」と言う様に高貴という意味がある。 UEDA (ノート)盛んな若枝を使う意味は、勢いで魔性を大きく払う意味がある。 (ノート)散杖の長さは肘から中指の先までが目安。HOSHINO ○散杖の手元3寸(約9cm)を白紙で巻く。 ?○散杖の先端には八幅輪、上へ五分づつ隔て三段に八葉を刻む。但し、何れも刃目を入れるだけでよい。 (ノート)八葉等を刻むのは水を吸いやすくする為。HOSHINO  F式具作法 P213 古来よりの作法があり、普段より習熟するよう心掛ける必要がある。 1.念珠 P214 ○元来念誦の数を記する道具である。 ○繰る時は意を散乱せしめず、用いるときは一切の罪障を滅除し、甚深の功徳があると言われている。 ○装束(しょうぞく)数珠は房仕立て、芥子(けし)珠は普通仕立て。 ○本装束は水晶(白)のみの長連(108)。導師は厳儀の法要には必ず本装束を用いるべきである。 ○本装束以外の房仕立て長連の数珠を半装束と言う。 ○装束数珠は房を下にして、二環にしてもつ。特に大きな物は親玉を人差し指上に置き、二環にして房を外側にする。 ○普通の数珠は、普段は二環にして左手首にかけ、合掌叉手の時は左手の人差し指の上に掛ける。   (ノート)婦人は右手に数珠をの表現は昔のもの。今は左。 HOSHINO (ノート)文殊儀軌経 珠の数 HOSHINO  最勝 1008  上品 108  中品 54  下品 27 ○勧請・唱題・回向に限り綾に掛ける。(唱題・回向の間たる宝塔偈は例外) ○数取のある方が下位、浄名珠及び四天珠(四菩薩)のある方が上位。 (ノート)四天珠 小さい珠 ○上位を右、下位を左に掛けて綾にする。 ○数珠を摺る事は合図の為に始まったもの。激しい音を発するべきでない。 ○七条、大衣、色衣五条の場合必ず装束数珠着用。 ○素絹(短絹)五条、道服等略装の時は普通仕立て。 ○素絹五条でも中啓を用いる場合は必ず装束数珠。 ○伏拝の時は、四指から親指に移し、数珠を左手の平に乗せる。 2.扇子 P215 ○インド以来、扇を持って仏に侍し、経論を講ずる習慣がある。 ○法式用の扇子には、桧扇(かいせん)・中啓・雪洞(ぼんぼり)の3種 がある。 ○本宗の衣帯には中啓が適当である。 (ノート)桧扇は袍裳(ほうも)の衣帯に用いる扇。袍裳は上下セパレートの衣帯で、僧綱襟(首の後ろの尖った襟)がある。僧綱襟は宮中より位を賜った僧侶の印である。 HAYAMI ○装束数珠を用いる時は必ず中啓を用いる。 ○素絹(短絹)五条以下の略装の場合は、雪洞を用いる事がある。 (ノート)法要式に喪儀には黒骨・鈍色を用いるとあるが今日では関係ない。KITOU ○起立時は右手にかなめの部分を持ち、末広をやや下げて腰の辺に置く。 ◎合掌その他の所作の時は必ず胸襟に挿す。 ○着座及び起立の時は、軽くかなめの部分を地につけて動作する。 ○礼盤では、右の脇机に末広を御宝前に向けて、ケイと平行に置く。但し、脇机の無いときは、柄をケイの後足に立て掛ける。 ○普通、経席に着くときは経函の右に置く。     ○御宝前礼拝の場合、末広を左にして膝前1尺(約30cm)の辺に置く。 ○天童が持つ場合、左手でかなめ部分、右手でその上の部分をはさみ持って、垂直に立てる。(尺の様に持つ) (ノート)置く場合は金色の面を上に、持つ場合は金色の面を外側にする。 3.衣 P216 ○元来は散華を盛る物。     ○華筥(けろ)・華篭(けこ)、また俗に花皿と言う。 ○三色の紐の場合は、赤を正面とする。 (ノート)赤は南を意味する。南は「盛ん」というイメージがあるから赤を前にする。 UEDA (ノート)青(緑)は左、白は右に持つ。青は東、白は西を表す。 ○両手の四指を手前の2本の紐の間に入れて、下から支える。両親指で上から抑え持つ。 ○両肘を軽く脇に付け、乳の高さに保つ。 (ノート)衣盾持つ高さは揃える必要がある。お互い注意して身長の低い者は高めに、高い者は低めに持つ。 ○起立時は、長跪、左手に衣盾取る、右手の中啓の柄で左回りで紐をさばく、中啓とともに衣盾フ縁を執り、起立してから静かに紐を垂らす。 ○席に就く場合は、同様に中啓で紐をさばき、長跪して下に置く。 ○経席のある場合は紐を手前にして、経函の左に置く。 ○経席の上に衣盾置くときに、喧(かまびす)しい音を立てないよう注意する。 ○起立時の持つ順番 @座具 A引キン B衣コク C柄香炉 D中啓 ○着座(御宝前等)の順番・置く位置 @衣盾フ紐をさばき着座。 A中啓を右膝斜め前に末広を前方に向けて置く。 B柄香炉を中啓の内側に平行に(炉を前に向けて)置く。 C衣盾左膝斜め前に置く。 D引キンを左外側に置く。  E最後に座具をさばく。 ┌──┬─┬─┬──┬─┬─┐ │五方│東│南│中央│西│北│ ├──┼─┼─┼──┼─┼─┤ │五色│青│赤│黄 │白│黒│ ├──┼─┼─┼──┼─┼─┤ │五季│春│夏│土用│秋│冬│ └──┴─┴─┴──┴─┴─┘    4.柄香炉 P218 ○導師は常に用いるのがよろしい。 ○一般大衆は特殊法要のみ用いる。 ○説法の時用いる。 ○持蓮華香炉・平柄香炉の二種類が有る。 ○説法・論議・礼拝・懺悔・誦経は持蓮華香炉でも良いが、衣盾ニともに持つには、平柄香炉が便利である。 ○衣盾ニともに持つときは、炉を左にして両親指で抑えながら持つ。 ○衣盾フみ持つときは、中啓を胸襟に挿し、右手で柄の端を持ち、左手で柄の中程を支え、炉を左前にして、乳の高さに持つ。 ○礼拝の時 @着座の時、柄香炉は右膝斜め前に置いて、座具をさばいてから座具の上に置き直す。 A途中所作省略 B伏拝の時は柄香炉を右に置く。 ○昇堂・退堂・礼拝の時は必ず良い香をたく。 ○経席では経函の右に置く。香合も右に置く。   5.拂子 P221 ○トナカイは尾を振って子供を引接誘導すると言われる。つまり拂子はこれを振って衆生を引導する法具。 ○所化の持つ物ではない。 (ノート)拂子の意味 @煩悩の塵を払う。A導師の意義をあらわす。HAYAMI     ○拂子とは「白熊(はぐま=ヤクの尾の毛)」を束ね柄を付けた物と伝わる。 (ノート)ヤク 牛に似たチベット等に生息する毛の長い動物。KOUJIEN DIC. ○払麈(ほつじん)とは麈尾(しゅび)で作ったものと伝わる。   (ノート)麈尾 麈とは大鹿(トナカイの類)のこと。トナカイは群れをなし主たるものに絶対服従するから、教団の徒が教主に従う意を寓したもの。KOUJIEN. ○右手で柄の端、右手で中程を持ち、左斜めに胸の辺に持つ。 (ノート)柄に付いた紐は、長いときは左手でさばいて持ち、短いときは右手にさばいて持つ。 UEDA ○御宝前や棺前では、拂子を振る前に斜持の姿勢より拂子を起こし、垂直ならしめて軽く一揖する。振った後も、左手を添えて同じく垂直に起こして一揖する。 (ノート)礼盤等他の場合は、拂子は斜持の姿勢のまま一揖する。 ○拂子の振り方 @左より右へ一振、右より左へ一振、左より右へ一振。 A左より右へ一振、右より左へ一振、正面に一振。 B円を三回描く(右遶)。 (ノート)円を描く時は、拂子の先を腰より下にしない。 HAYAMI ○所作終了後は、直ちに斜持の姿勢に戻るか、焼香机の右上に置く。 ○礼盤の上に登った時は、毛を向こうに垂らして、経函の右に置く。 ○三振する意味は、空假中三諦の円理を象徴したもの。 (ノート)空假中三諦の円理 空假中の三諦は分離別々ではなく、一つになって初めて悟れる。(本末究竟等) 空  假(け) 中  「ほどほど」の意味  6.坐具 P222 ◎座具は比丘六物の一である。 ◎衣帯と礼拝の場所を護る為の法具である。 ○梵語で尼師壇、漢訳して隨座衣などと言っている。 ○身長等の都合により大小は自由であるが、長さ三尺三寸二分、幅二尺四寸五分という規格がある。また異なる諸規格あり。 ○色・質ともに袈裟と同じ物がよい。 ○原則として不正色(原色以外)の布で作るべきである。 ○絹地金襴縁の座具は導師のみが用いるものである。 ○もし、褊衫裙(へんさんくん)着用の時は、式衆も全て座具を用いるべきである。褊衫と同色同質の麻布で作るべきである。 ○褊衫裙 褊衫と裙子(くんず)に上下分割形の衣。  (ノート)褊=せまい 衫=はだぎ 裙=すそ ○起立の時は縦六ッ折として、左腕の袈裟の下、衣の上に、内から外に向けて掛ける。 ○着席の時、折口を左にして二つ折にして、膝の下か前に置く。 ○礼拝の時は前半を三つ折として地にのべ、その上に伏拝する。   7.襟巻 P223 ○縹帽子(はなだ)、単に帽子とも言う。 ○白羽二重大巾八尺を二つに折って四尺の重ねとして、両端を縫って袖形の輪とする。 ○幅約四分の一づつを両端より中心に向けて折り、更にそれを中心より二つに折り、袈裟の上に垂らすように掛けるのが正義である。 ○七条・大衣の場合は袈裟の下に掛けてもよい。 (ノート)木蘭・墨染めには使用しない。 (ノート)大衣とは九条以上の袈裟。 ○縮緬や色物は法会に使用できない。 ○両端を縫合していないのは「首巻き」であって法服ではない、儀式に用いるべきでない。 ○本宗では、十月のお会式から開宗会まで用いるのがよい。 ○絽や紗を用いた物は「汗除け」で襟巻ではない。 ○所化は襟巻を用いる事は出来ない。 (ノート)正装の時、教師以上は着用しなければならない。   8.燕尾 (及び角帽子(かくもうす)) P225 ○比丘が儀式に用いる冠である。 ○寒暑に拘らず用いる。 ○後方の(纓の)形状が、燕の尾に似ているから燕尾の名がある。 ○日本では推古天皇の頃から用いられたと伝わる。 ○挨拶を含め、式中は決して脱ぐべきではない。冠であり、法服・礼装である。 注意 ○差定と式次第の違い  差定は 式次第 + 役配 ○鼠尾草(みそはぎ)を灑水に用いる訳。 (P180)    拒l尾草は宿魂草ともいわれるから盆に用いられる。    虚艪ェ長く水を注ぐのに便利である。    許{草綱目に「熱を治し、渇を止む」とあるから餓鬼に水を注ぐのに用いられる。