@道場偈 出 典 天台大師「法華三昧懺儀」 意 味 諸仏を道場に勧請し、五体倒地・頂足して帰命を誓う。 特 徴 七字四句の伽陀 注意点   ☆法要の最初にふさわしいよう、ゆっくり荘厳に唱える。   ○大きな声を出そうとして力んで各句の最初をきつく発音しないように   ●「我」の始めは、さぐり(押し出し)を入れてる。     さぐり = @少し低い声から発する。(羽音が目安) A少し弱い音から始める。   ●「道」には由(ゆり)が有る。     由 = @一音上に当てる A声を切る B一音上の音にはアクセントを置かない事   ●「道」の由、直(スグ)の長さは等しい。   ○「如」はニョオと読む。(ニョウではない)   ○「如」はさぐり不要。(句の途中なので)但し、五線譜にはさぐりが有る。   ●「如帝珠」は宮商と素直に音を上げ、商宮は塩梅をつける。     塩梅 = @丸みを付けてゆっくり下げる。 A音量を弱めない。(鉄棒をねじ曲げる様に)   ○「十方」「我身」「頭面」はさぐりが有る(五線譜P301参照)。但し、控えめに押し出す。   ●「十方」はジューホーと発する。   ◎「影現中」の宮羽は塩梅を付けない。(折る事)   ○第三句「影現」の最後のンの長さに注意。   ○第四句「摂足」の最後のクは優しく、短く。平声(ひょうしょう)。   ●「帰命礼」のキは羽音。   ○直は素直に。   ○伏拝すると声が聴こえにくいので、最後の徴音はしっかり大きく唱える。    (宮音を生かす事にもなる。) 所 作   ▲キン一丁 大衆長跪合掌   ▲キン一丁 句頭師発音   ▲キン一丁 「十方」より大衆同音   ▲キン一丁   ●「帰」の羽音から宮音に上がると同時に(「イ」の音)曲躬低頭。   ●「命」の博士で合掌に戻る。   ●「礼」の博士で伏拝に移り。   ●徴音で頂足。(約十秒 但し、声明講習会等現状はもっと短い)(P266)   ●▲キン一丁 大衆静かに頭を上げ長跪合掌 参 照 宗定法要式 265 280〜281(墨符) 301(五線譜)     僧風林読本 113 117 ※伽陀 = 道場偈や奉送の様に偈文四句からなり、法要の重要な所(最初・中・最後)で唱える。唱え 方は荘厳に唱える事。荘厳に唱える為に声を引く(声を伸ばしぎみにゆっくり唱える)。 A三宝礼 出 典 「法華懺法」総礼三宝 意 味 仏法僧を三つの宝として心から敬う。 特 徴 起居礼 注意点   ●「一心」はイ−シン、「敬」はキョーウ、「十方一切」はジューホーイーサイ(ツは拾わない)、   「仏」はフと発音しツを切る。   ○「仏」は短くなりがち。他の「法」「僧」の様にウを拾う時と同じ長さにする。   ●「法」「僧」「敬」「常」はウの仮名を拾う。   ○導師敬礼の独礼拝の時は「敬」の宮音から商音に移るとき起立。「礼」の字の博士の終わりに、    更に徴音を付けても良い。    方法1 導師が徴音に下りる前に音をかぶせる。(引キン不要)    方法2 徴音に下りてから引キンを入れ式衆同音。   ○「一心」のンはMの音。    (ンの音をハッキリ発音する時はMの音)   ○五線譜(P300)には「仏」「法」「僧」にさぐりがあるが、句の途中なので実際はさぐりは入らない。 UEDA 所 作   ●長跪合掌    ▲キン一丁(道場偈に続く時はこのキンが頭を上げる合図を兼ねる。)   ●発音    ▲キン一丁(一心・・・)   ●十方一切と大衆同音    ▲キン一丁(十方・・・)   ○三句とも「常」のウの音(宮商)でゆっくり起立   ○三句とも「住」の商宮で曲躬低頭。   ○三句とも「住」のウで右足を引く   ○「仏」のフ、「法」のホ、「僧」のソで左足を引き伏拝。   ○三句とも徴の音で頂足    ▲キン一丁   ●静かに頭を上げる 参 照 宗定法要式 268 282(墨符) 301(五線譜)   僧風林読本 113 118 ※ 起居礼は導師発音が本義。(UEDA)  全てをキン座が発音せずに、他の式衆が発音しても良い。(UEDA) B切散華 出 典 欲説法華経  序品第一   最後の偈文(真訓開結83頁)   大哉大悟大聖主 無量義経徳行品第一 最初の偈文(7頁)   願以此功徳  化城喩品第七  最後から3番目の偈文(252頁)   香華供養仏 意 味 散華は仏を請じ供養する意味がある。(209)    @仏は華(蓮)を以って座となすから、散華して仏を勧請する。    A綺麗な華を散して、此土に浄土を現して道場を清め諸仏を勧請する。   初段 勧請 (列立散華 起立して散華)       欲説法華経     (訳)法華経を説かんと欲するならん。   中段 讃嘆 (行道散華 仏徳を讃える為に行道しながら散華)       大哉大悟大聖主 無垢無染無所著 天人象馬調御師 道風徳香薫一切     (訳)大なる哉大悟大聖主、垢(く)なく染(ぜん)なく所著(しょじゃく)なし。 天        人象馬の調御師、道風徳香一切に薫じ。   後段 普回向 (本座復還 元の席に戻ってから散華・仏様が天に戻ってから散華)       願以此功徳 普及於一切 我等与衆生 皆倶成仏道     (訳)願わくは此の功徳を以て、普ねく一切に及ぼし、我等と衆生と、皆共に仏道を成ぜん。   特 徴   ○切声    @博士を縮める。(切声の本来の意味)    A中段・下段は文句が長いので初めの一句のみを用いる。(切声の本来の意味でない)      ○法要の根本形式(勧請・讃嘆・回向)が備わっている。(UEDA) 注意点   ●「説」「仏」「徳」のツ・クは発音しない。(264)   (文字の語尾がフクツチキの音ならば、切り捨てたり、ささやくのが原則)   ●「法」は必ずウの仮名を拾う。(264)   (墨譜の脇の仮名は特に丁寧に拾いながら唱えるよう注意する。)   ●「主」の音はジュと読む。   ●華を投げ捨てる様な形は慎む。   ●華は多いほど良い。(宗定)   ○地方により所作の違いに注意。@最初の起立 A礼拝の場所   ○「欲」のヨーとクの長さの比率は2:1。   ◎「大哉大悟」のダー、イ、ザー、イ、ダー、イ、ゴーの長さの比は2:1:2:1:2:1:3。   ○「大哉大悟」の3つのイは短くなりすぎない事。   ○「聖主」はショオジュでショウジュではない。   ○「大哉大悟大聖主」が長いので「願以此功徳」が短くならない様に。   ○「願」のン(Nの音)は一瞬の発音であるが、ガーニシでは短すぎる。   ◎「大哉大悟大聖主」が長いので「願以此功徳」が短くならない様に。   ○「功徳」はクドオ。   ○鰍ヘ打たない。   ☆散華は華やかなものなので、道場偈・三宝礼より調子(音の高さ)を少し上げて良い。(UEDA) 所 作   ▲キン一丁   ●式衆は花皿の紐を裁いて左足を立て起立準備。キン座は花皿の紐を裁かない。   ●ハチ師は散華の必要なし、ハチを持って起立準備。    ▲キン一丁   ●キン座は花皿の紐を裁いて起立。    ▲キン一丁(慣れた式衆の場合打たなくても良い。キンの数が多いから。)   ●発音    ▲キン一丁   ●同音(香華供養仏)   ○最初の「香華」のケで中啓を胸襟(きょうきん)に指す。   ●「供」の博士で宮音から商音に上がるとき、右手で華を執って額上に捧げ、「仏」の博士で散らす。    手の動きは滑らかに、丁度フの音で散華の場所に手が来るように。   ●華は左右中に散らす。   ○式衆は最後の散華の後で中啓を胸から右手に戻す。   ○切散華が終わって着座しても伏拝の必要なし。   ○散華の手の所作ポイント    @指は(親指を含めて)全てつける。    A「供」の最初の音で華を取る。    B散華は人差し指と中指で挟む。    C肘(ひじ)から指先までまっすぐ伸ばす。    D散華は額の高さまで垂直に上げる。    E散華はゆっくり上げる。   ◎左に散華する時は手のひらをかえす。(甲を下にする) UEDA   ○所作の忙しい時、完全に座っていなくとも導師登礼盤の金撃打って良い。   ○花皿は経机の上、左側に置く。経函の上や経机の下に置かない。   ○目線より下で散華しない。(UEDA) 参照 宗定法要式 209 240〜241 264 269 283〜284(墨符) 300(五線譜) C咒 讃 出 典 普賢菩薩勧発品第二十八 普賢咒(抜粋) 意 味 咒を唱えて仏徳を讃嘆、諸善奉行を誓う。 特 徴   ●讃には梵讃・漢讃・和讃があるが、本宗ではハチの前に普賢咒を用い咒讃と称する梵讃を行う。   ●咒讃は由(ゆり)のみで成っている。直・由で1セット。   ○他の六曲と違い、一字に博士が沢山ある。   ●本讃は省略せず「阿婆多尼」まで読むが、長いのでいわゆる略讃を用いる。   ●後に必ず潟nチの器楽供養を行う。 注意点   ☆聞かせ所 @由 A切って切らず Bかかり   ☆「上(じょう)の切り」の前の由(ゆり)は他の由よりも長い。直(スグ)と同じ長さで、ゆっ    たりと唱える。   ○「上の切り」の最後はほんの少し音程を下げる。(下げすぎない事)     上の切り = 商音まで上げて消え落とす。   ●「地(だい)」「禰(ね)」「尼」等の字の終わりに「切り」が有る。    次第に消え落ちる様に唱える。   ○「陀羅」はしっかり折る。   ○「阿婆」の終わりの博士、商・宮・商・商の商・商の間は「切って切らず」。    声を切って、息を切らない。一つの息の中で声の中間がほとんど離れて止み、再び続くように唱える。   ○「直(スグ)」と「由(ゆり)」の長さの比は3:1。(但し、現状は3:1、本来は3:2である)   ○「阿檀地」の「地」、「薩婆」の「婆」、「阿婆」の「阿」等の「かかり」は短く、柔らかく。   ○「阿婆」の商・宮・商・商の長さは3:2:2:3。   ○「阿婆」の商・宮・商・商の商・宮は塩梅を付けてゆったり唱える。   ○「阿婆」の商・宮・商・商の最後の商は力強く唱え、すっと消える。   ●潟nチは広略適宜であるが、急調騒暴であってはならない。   ○出ハチはなるべく御宝前の近くが良い。   ○出ハチの時、潟nチ師は数珠不要。潟nチを鳴らすとき数珠は不要。 所 作    ▲キン一丁    讃頭発音   ▲キン一丁(キン座は引キンを置く)    式衆同音   ○潟nチ師は阿婆多の婆で博士が商・宮・商の宮で潟nチを取る。   ○ハチ師は商・宮・商・商の最後の商で起立。   ●讃頭は導師を背にするので長跪、ハチ師は起立して鳴らす。   ●鰍ェの第1打を聞いて式衆は叉手。 参 照 法要式 270 198 285(墨符) 299(五線譜) ※咒讃を発音する者を讃頭と言う。 D対揚 出 典 なし (作偈されたもの) 意 味 応対称揚、つまり対告衆(導師と大衆)が如来の徳を称揚するという意味。 特 徴   ●神分(じんぶん=祈願)と敬白(言上・表白)の2式を合わせた一定の文。    神分 釈迦拝・多宝拝・天衆拝・高祖拝・上行拝    啓白 聖朝拝・天下拝(報地拝・増円拝・坐宝拝・伽藍拝等)   ●付対揚と次第音     @付(つけ)対揚 対揚導師が発音し次の句から式衆も一緒に唱える。     A次第音   対揚導師の句を式衆が繰り返し唱える(輪唱)。   ●胡跪 注意点   ●法要趣旨に合わせて五拝程度を適宜取捨する。   ○さぐりは不要。   ○「久遠」の宮・羽、「南無」「聖朝」の宮・徴は塩梅をつけない。   ○「主」の徴に落ちる所は塩梅を付け過ぎない。   ○「迦」の羽・宮・羽・宮の長さは2:3:2:3。(他の拝も同じ)   ○「迦」の羽・宮・羽・宮の羽・宮は一気に上がり、宮・羽は塩梅を付けて下がる。(他も同じ)   ○角音を十分はる事。   ○伏拝は上行拝のみ   ○徴音は消息音と言って影の拍子である。   ○「教主」はケウシュと読む。   ○「天衆地類」はテンジジルイと読む。(音義字書)   ○「聖朝」はショウテウと読む。   ○「高祖大師」はコオソ(コウソではない)ダイジ。   ○「所願」はショーガン。ショウガンではない。 所 作   「釈迦拝」   ▲キン一丁    式衆胡跪   ▲キン一丁    句頭師発音(南無久遠)   ▲キン一丁    式衆同音(実成・・)   ●「釈」の宮より商に上がる時おもむろに起立   ●「迦」の第二段の博士で曲躬低頭。   ○羽・宮・羽・宮の最後の宮で曲躬低頭完了。   ○羽・宮・徴の宮(釈迦拝以外はウの音)で右足を引く。   ●「迦」の終わりの徴音で胡跪に戻る。   「多宝拝」から「天下拝」は釈迦拝に準ずる。   ○敬白文の後の拝(座宝拝等)の対揚導師発音は引キン不要。   「上行拝」   ▲キン一丁    句頭師発音   ▲キン一丁    式衆同音   ●「菩」の博士で曲躬低頭。   ●「薩」の博士で伏拝に移る。   ●「薩」の徴音で頂足。   ▲キン一丁    一同静かに頭を上げる。 参 照 宗定法要式 271 241 286〜289(墨符) 298(五線譜) ※敬白文は諷誦文なので緩急を付けて唱えて良い。(法要式239 回向、啓白、弔祭、慶讃の各文は諷唱する)(UEDA) E三帰 出 典 華厳経浄行品 意 味 法要の終わりに臨み、三宝帰依の誠を表す。(237)  (訳)自ら仏に帰依せば、当に願すべし衆生、大道を体解して、無上意を発せんと。    自ら法に帰依せば、当に願すべし衆生、深く経蔵に入って、知恵海の如くならんと。    自ら僧に帰依せば、当に願すべし衆生、大衆を統理して、一切無碍(むげ)ならんと。 特 徴   ○リズミカルでテンポの良い声明   ●起居礼 注意点 < ポイント @末下り Aテンポ B仮名の拾い >   ☆末下りをしっかり唱える事   ●「帰」「解」「入」「理」は末下りがある。商音を十分伸ばし、速やかに宮音に下りて直ちに次の博士に移る。(特に注意)   ☆長い法要の後なのでテンポ良く唱えないと間延びする。   ○一同同音し所作を付けると遅くなりがちなので、リズミカルに唱える様にする。。   ☆大人数の時は意識的に速く唱える様にする。(大人数が合わせる為テンポが遅くなりがち。)   ○「一切」はイーサイと読む。「ッ」の音が詰まらない事。   ○「當願衆生」の「生」は伸びない様に。(テンポが崩れる)   ○各句の最初は伸びない様に注意。   ●「一切」「仏」「法」「僧」の発音や仮名を拾う事。   ○総じて、引キンのタイミング・各句の最後の長さに注意してテンポを崩さない事。 所 作   ☆基本的には三宝礼と同じ。   ●導師の独礼拝がある時は、「自」の宮から商に上がる時起立。(三宝礼参照)   ●第一拝    「体」の宮より商に上がる時、ゆっくり起立    「発」で曲躬低頭    「無」で右足を引く    「上」で左足を引く    「意」で伏拝、徴音で頂足   ●第二拝    「智恵」で曲躬低頭    「如」で右足を引く    「海」のカで左足を引き、イで伏拝   ●第三拝    「一」で曲躬低頭    「切」のイで右足を引く    「無」で左足を引く    「碍」で伏拝、徴音で頂足 参 照 宗定法要式 275〜277 290〜292(墨符) 295(五線譜)   僧風林読本 98 114 F奉送 出 典 大毘盧遮那成仏神変加持経(大日経)     大毘盧遮那成仏神変加持経第二十五(法の巻 不思議法師の疏(礼誦儀記の記述))と鬼頭師から     教わったがCBATA「大正新脩大藏經」に確認できず。「唯願諸聖衆」ではなく「唯願聖天衆」であれば      大正新脩大藏經18巻 P53b 24行、P127a 5行、P143b 26行、P164a 27行、P186b 23行に          「唯願聖天衆 決定證知我 各當随所安 後復垂哀赴」を見つけた。           意 味 法要が終わり、来臨の三宝聖衆に各本土に還帰して戴く事を請う。   (238)  (訳)唯(ただ)願わくは諸(もろもろ)の諸衆、決定して我を證知(しょうち)したまえ。各(おのおの)     到って所安に隨(したが)い、後に復(また)哀赴(あいふ)を垂れたまえ。 特 徴 五字四句の伽陀 注意点 < ポイント 三句目の末下り(二カ所) >   ☆来臨の諸尊をお送りするので、気持ちをあらため、ゆっくり(おごそかに)唱える。    (速いと追い出す様に聞こえて落ちつかない。)   ☆末下りの唱え方がポイント(三句目)。     商音を十分伸ばして、すっと落とす。(メリハリを付ける)   ●「唯願」のユはさぐり(押し出し)を入れる。   ●「唯願」のンはハッキリは発音しない。   ●「知」の宮羽宮は丸みを付けず折って下がり上がる。(塩梅なし)   ○「到隨」は末下りに注意、トーの商と宮の長さの比は2:1。宮に下がって直ちにズの音(ズは長く成らない様注意)に移る。   ○「隨」のズ・ウーイのウーイのイは墨譜の真ん中であるのでウーとイは同じ長さ。。   ○「所安」も末下りに注意、ショーの商と宮の比は2:1。宮に下がって直ちにアの音に移る。   ○「哀赴」はさぐりを入れない。   ○「哀赴」の赴は宮から徴に下がる。 所 作   ○金月O打(金月O打は奉送の一部である(HAYAMI))   ○大衆長跪    ▲キン一丁   ○句頭師発音    ▲キン一丁   ○式衆同音    ▲キン一丁   ○「哀」で曲躬低頭   ○「赴」で伏拝、徴音で頂足    ▲キン一丁   ○静かに頭を上げる 参 照 宗定法要式 238 293(墨符) 294(五線譜)   僧風林読本 98 114 120 121