妙法蓮華経提婆達多品第十二


← 妙法蓮華経見宝塔品第十一 |法華経解説トップ妙法蓮華経勧持品第十三 →

科段

迹門・流通分・引往〓益以証流通

〓は印刷が悪く判別不可

達多の通経釈迦の成道

往昔師弟持経の相

◎長行
◎偈頌

古今を結会す

◎正しく古今を結会す
◎師弟の功報

疑を断じ信を勧む

 

文殊の通経龍女の成仏

文殊の通経

智積還らんことを請う
釈尊之を止む
文殊尋いで来る
智積化を問う
文殊の決答

龍女の利益

文殊の自叙
智積の致問
文殊の実答
智積の疑難
龍女疑を解く
舎利弗の疑難

迹門・流通分四段中第二・引往昔弘経得益以証流通二・発明昔日達多通経釈迦成道

妙法蓮華経提婆達多品第十二

達多の通経釈迦の成道

往昔師弟持経相 (往昔師弟持経の相)


◎長行

 ○求法時節 (求法の時節)

爾時仏告。諸菩薩。及天人四衆。吾於過去。無量劫中。求法華経。無有懈倦。

 爾の時に仏、諸の菩薩及び天・人・四衆に告げたまわく、吾過去無量劫の中に於て法華経を求めしに、懈倦あることなし。

 

 ○正明求法 (正しく求法を明す)

  △発願

於多劫中。常作国王。願発求於。無上菩提。心不退転。

 多劫の中に於て常に国王と作って、願を発して無上菩提を求めしに、心退転せず。

 

  △修行

為欲満足。六波羅蜜。勤行布施。心無悋惜。象馬七珍。国城妻子。奴婢僕従。頭目髄脳。身肉手足。不惜躯命。時世人民。寿命無量。為於法故。捐捨国位。委政太子。撃鼓宣令。四方求法。誰能為我。説大乗者。吾当身終。供給走使。

 六波羅蜜を満足せんと欲するをもって布施を勤行せしに、心に象馬・七珍・国城・妻子・奴婢・僕従・頭目・髄脳・身肉・手足を悋惜することなく、躯命をも惜まざりき。時に世の人民寿命無量なり。法の為の故に国位を捨てて政を太子に委せ、鼓を撃って四方に宣令して法を求めき。誰か能く我が為に大乗を説かん者なる。吾当に身を終るまで供給し走使すべし。

 

 ○得説法師 (説法師を得) 底本本文では△ 巻末科段では○

時有仙人。来白王言。我有大乗。名妙法蓮華経。若不違我。当為宣説

 時に仙人あり、来って王に白して言さく、
 我大乗を有てり、妙法蓮華経と名けたてまつる、若し我に違わずんば当に為に宣説すべし。

 

 ○受法奉行 (法を受け奉行す) 底本本文では△ 巻末科段では○

王聞仙言。歓喜踊躍。即随仙人。供給所須。採果汲水。拾薪設食。乃至以身。而作状座。身心無倦。于時奉事。経於千歳。為於法故。精勤給侍。令無所乏。

 王、仙の言を聞いて歓喜踊躍し、即ち仙人に随って所須を供給し、果を採り、水を汲み、薪を拾い、食を設け、乃至身を以て状座と作せしに、身心倦きことなかりき。時に奉事すること千歳を経て、法の為の故に精勤し給侍して、乏しき所なからしめき。

 


◎偈頌

爾時世尊。欲重宣此義。而説偈言

 爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく

 

 ○求法時節 (求法の時節)

 我念過去劫 為求大法故

  我過去の劫を念うに 大法を求むるをもっての故に

 

 ○正明求法 (正しく求法を明す)

 雖作世国王 不貧五欲楽
 鐘椎告四方 誰有大法者 若為我解説 身当為奴僕

  世の国王と作れりと雖も 五欲の楽を貧らざりき
  鐘を椎いて四方に告ぐ 誰か大法を有てる者なる
  若し我が為に解説せば 身当に奴僕と為るべし

 

 ○得説法師 (説法師を得)

 時有阿私仙 来白於大王 我有微妙法 世間所希有
 若能修行者 吾当為汝説

  時に阿私仙あり 来って大王に白さく
  我微妙の法を有てり 世間に希有なる所なり
  若し能く修行せば 吾当に汝が為に説くべし

 

 ○受法奉行 (法を受け奉行す)

 時王聞仙言 心生大喜悦
 即便随仙人 供給於所須 採薪及果焉@随時恭敬与
 情存妙法故 身心無懈倦 普為諸衆生 勤求於大法

  時に王仙の言を聞いて 心大喜悦を生じ
  即便仙人に随って 所須を供給し
  薪及び果・を採って 時に随って恭敬して与えき
  情に妙法を存ぜるが故に 身心懈倦なかりき
  普く諸の衆生の為に 大法を勤求して

 

 ○結証勧信 (証を結し信を勧む)

 亦不為己身 及以五欲楽 故為大国王 勤求獲此法
 遂致得成仏 今故為汝説

  亦己が身 及び五欲の楽の為にせず
  故に大国の王と為って 勤求して此の法を獲て
  遂に成仏を得ることを致せり 今故に汝が為に説く

 

結会古今 (古今を結会す)


◎正結会古今 (正しく古今を結会す)

仏告諸比丘。爾時王者。則我身是。時仙人者。今提婆達多是。

 仏諸の比丘に告げたまわく、爾の時の王とは則ち我が身是れなり。時の仙人とは今の提婆達多是れなり。

 


◎師弟功報倶満 (師弟の功報)

 ○弟子因報已満

  △因満

由提婆達多。善知識故。

 提婆達多が善知識に由るが故に、

 

  △果満

令我具足。六波羅蜜。慈悲喜捨。三十二相。八十種好。紫磨金色。十力四無所畏。四摂法。十八不共。神通道力。

 我をして六波羅蜜・慈悲喜捨・三十二相・八十種好・紫磨金色・十力・四無所畏・四摂法・十八不共・神通道力を具足せしめたり。

 

  △結由通経

成等正覚。広度衆生。皆因提婆達多。善知識故。

 等正覚を成じて広く衆生を度すること、皆提婆達多が善知識に因るが故なり。

 

 ○法師妙果当成

  △果成

告諸四衆。提婆達多。却後過無量劫。当得成仏。号曰天王如来。応供。正ェ知。明行足。善逝。世間解。無上士。調御丈夫。天人師。仏。世尊。世界名天道。

 諸の四衆に告げたまわく提婆達多却って後無量劫を過ぎて当に成仏することを得べし。号を天王如来・応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊といわん。世界を天道と名けん。

 

  △化度

時天王仏。住世二十中劫。広為衆生。説於妙法。恒河沙衆生。得阿羅漢果。無量衆生。発縁覚心。恒河沙衆生。発無上道心。得無生忍。住不退転。

 時に天王仏世に住すること二十中劫、広く衆生の為に妙法を説かん。恒河沙の衆生阿羅漢果を得、無量の衆生縁覚の心を発し、恒河沙の衆生無上道の心を発し無生忍を得、不退転に住せん。

阿羅漢(あらかん) サンスクリット arhan の音写。応供(おうぐ)と漢訳される。尊敬される人、供養するに値する聖者という意味。小乗仏教の修行者たる声聞(しょうもん)の最高位。

  △滅後益

時天王仏。般涅槃後。正法住世。二十中劫。全身舎利。起七宝塔。高六十由旬。縦広四十由旬。諸天人民。悉以雑華。抹香。焼香。塗香。衣服。瓔珞。幢幡。宝蓋。妓楽。歌頌。礼拝供養。七宝妙塔。無量衆生。得阿羅漢果。無数衆生。悟辟支仏。不可思議衆生。発菩提心。至不退転。

 時に天王仏般涅槃の後、正法世に住すること二十中劫、全身の舎利に七宝の塔を起てて、高さ六十由旬、縦広四十由旬ならん。諸天人民悉く雑華・抹香・焼香・塗香・衣服・瓔珞・幢幡・宝蓋・妓楽・歌頌を以て、七宝の妙塔を礼拝し供養せん。無量の衆生阿羅漢果を得、無数の衆生辟支仏を悟り、不可思議の衆生菩提心を発して不退転に至らん。

阿羅漢(あらかん) サンスクリット arhan の音写。応供(おうぐ)と漢訳される。尊敬される人、供養するに値する聖者という意味。小乗仏教の修行者たる声聞(しょうもん)の最高位。

断疑勧信 (疑を断じ信を勧む)

仏告諸比丘。未来世中。若善男子。善女人。聞妙法華経。提婆達多品。浄心信敬。不生疑惑者。不堕地獄。餓鬼。畜生。生十方仏前。所生之処。聞常此経。若生人天中。受勝妙楽。若在仏前。蓮華化生。

 仏諸の比丘に告げたまわく、未来世の中に若し善男子・善女人あって、妙法華経の提婆達多品を聞いて、浄心に信敬して疑惑を生ぜざらん者は、地獄・餓鬼・畜生に堕ちずして十方の仏前に生ぜん。所生の処には常に此の経を聞かん。若し人天の中に生れば勝妙の楽を受け、若し仏前にあらば蓮華より化生せん。

 

次明今日文殊通経龍女成仏 (文殊の通経龍女の成仏)

文殊通経 (文殊の通経)


◎智積請還 (智積還らんことを請う)

於時下方。多宝世尊。所従菩薩。名曰智積。啓多宝仏。当還本土

 時に下方の多宝世尊の所従の菩薩、名を智積という。多宝仏に啓さく、当に本土に還りたもうべし。

 


◎釈尊止之 (釈尊之を止む)

釈迦牟尼仏。告智積曰。善男子。且待須臾。此有菩薩。名文殊師利。可与相見。論説妙法。可還本土。

 釈迦牟尼仏、智積に告げて曰わく、善男子、且く須臾を待て。此に菩薩あり、文殊師利と名く。与に相見るべし。妙法を論説して本土に還るべし。

 


◎文殊尋来 (文殊尋いで来る)

爾時文殊師利。坐千葉蓮華。大如車輪。倶来菩薩。亦坐宝蓮華。従於大海。娑竭羅龍宮。自然涌出。住虚空中。詣霊鷲山。従蓮華下。至於仏前。頭面敬礼。二世尊足。修敬已畢。往智積所。共相慰問。却坐一面。

 爾の時に文殊師利、千葉の蓮華の大さ車輪の如くなるに坐し、倶に来たれる菩薩も亦宝蓮華に坐して、大海の娑竭羅龍宮より自然に涌出して、虚空の中に住し、霊鷲山に詣でて蓮華より下りて、仏前に至り、頭面に二世尊の足を敬礼し、敬を修すること已に畢って、智積の所に往いて共に相慰問して、却って一面に坐しぬ。

 


◎智積問化 (智積化を問う)

智積菩薩。問文殊師利。仁往龍宮。所化衆生。其数幾何。

 智積菩薩、文殊師利に問わく、仁龍宮に往いて化する所の衆生、其の数幾何ぞ。

 


◎文殊決答 (文殊の決答)

 ○利益甚多 (利益甚だ多し)

文殊師利言。其数無量。不可称計。非口所宣。非心所測。且待須臾。自当有証。

 文殊師利の言わく、其の数無量にして称計す可からず。口の宣ぶる所に非ず、心の測る所に非ず。且く須臾を待て。自ら当に証あるべし。

 

 ○蒙益者集証 (益を蒙る者集まり証す)

所言未竟。無数菩薩。坐宝蓮華。従海涌出。詣霊鷲山。住在虚空。

 所言未だ竟らざるに、無数の菩薩宝蓮華に坐して海より涌出し、霊鷲山に詣でて虚空に住在せり。

 

 ○皆是文殊所化 (皆是れ文殊の所化)

此諸菩薩。皆是文殊師利。之所化度。具菩薩行。皆共論説。六波羅蜜。

 此の諸の菩薩は、皆是れ文殊師利の化度せる所なり。菩薩の行を具して皆共に六波羅蜜を論説す。

 

 ○本声聞人 (本声聞の人)

本声聞人。在虚空中。説声聞行。

 本声聞なりし人は虚空の中に在って声聞の行を説く。

 

 ○今聞実住大乗 (今実を聞て大乗に住す) ※ 底本本文は大衆とあったが巻末科段には大乗

今皆修行。大乗空義。

 今皆大乗の空の義を修行す。

 

 ○文殊結利益 (文殊利益を結す)

文殊師利。謂智積曰。於海教化。其事如此。

 文殊師利、智積に謂って曰く、海に於て教化せること其の事此の如し。

 

 ○智積讃歎 (智積の讃歎)

爾時智積菩薩。以偈讃曰

 大智徳勇健 化度無量衆 今此諸大会 及我皆已見
 演暢実相義 開闡一乗法 広導諸群生 令速成菩提

 爾の時に智積菩薩偈を以て讃めて曰く、

  大智徳勇健にして 無量の衆を化度せり
  今此の諸の大会 及び我皆已に見つ
  実相の義を演暢し 一乗の法を開闡して
  広く諸の群生を導いて 速かに菩提を成ぜしむ

 

龍女の利益


◎文殊自叙 (文殊の自叙)

文殊師利言。我於海中。唯常宣説。妙法華経。

 文殊師利の言わく、我海中に於て唯常に妙法華経を宣説す。

 


◎智積致問 (智積の致問)

智積菩薩。問文殊師利言。此経甚深微妙。諸経中宝。世所希有。頗有衆生。勤加精進。修行此経。速得仏不。

 智積菩薩、文殊師利に問うて言わく、此の経は甚深微妙にして諸経の中の宝、世に希有なる所なり。頗し衆生の勤加精進し此の経を修行して、速かに仏を得るありや不や。

 


◎文殊実答 (文殊の実答)

文殊師利言。有。娑竭羅龍王女。年始八歳。智慧利根。善知衆生。諸根行業。得陀羅尼。諸仏所説。甚深秘蔵。悉能受持。深入禅定。了達諸法。於刹那頃。発菩提心。得不退転。辯才無碍。慈念衆生。猶如赤子。功徳具足。心念口演。微妙広大。慈悲仁譲。志意和雅。能至菩提。

 文殊師利の言わく、有り。娑竭羅龍王の女年始めて八歳なり。智慧利根にして、善く衆生の諸根の行業を知り、陀羅尼を得、諸仏の所説甚深の秘蔵悉く能く受持し、深く禅定に入って諸法を了達し、刹那の頃に於て菩提心を発して不退転を得たり。辯才無碍にして、衆生を慈念すること猶お赤子の如し。功徳具足して、心に念い口に演ぶること微妙広大なり。慈悲仁譲・志意和雅にして能く菩提に至れり。

 


◎智積疑難 (智積の疑難) [是別執]

智積菩薩言。我見釈迦如来。於無量劫。難行苦行。積功累徳。求菩薩道。未曾止息。観三千大千世界。乃至無有。如芥子許。非是菩薩。捨身命処。為衆生故。然後乃得。成菩提道。不信此女。於須臾頃。便成正覚。

 智積菩薩の言わく、我釈迦如来を見たてまつれば、無量劫に於て難行苦行し功を積み徳を累ねて、菩薩の道を求むること未だ曾て止息したまわず。三千大千世界を観るに、乃至芥子の如き許りも、是れ菩薩にして身命を捨てたもう処に非ることあることなし、衆生の為の故なり。然して後に乃ち菩提の道を成ずることを得たまえり。信ぜじ、此の女の須臾の頃に於て便ち正覚を成ずることを。

 


◎龍女釈疑 (龍女疑を解く) [是円意] ※ 本文と巻末で釈と解の違い

 ○経家叙 (経家の叙)

言論未訖。時龍王女。忽現於前。頭面礼敬。却住一面。

 言論未だ訖らざるに、時に龍王の女忽ちに前に現じて、頭面に礼敬し、却って 一面に住して、

 

 ○讃偈

以偈讃曰

 偈を以て讃めて曰さく、



  △持経得解 (経を持って解を得)

 深達罪福相 ェ照於十方

  深く罪福の相を達して 遍く十方を照したもう

 

  △成就二身 (二身を成就す)

 微妙浄法身 具相三十二
 以八十種好 用荘厳法身 天人所戴仰 龍神咸恭敬
 一切衆生類 無不宗奉者

  微妙の浄き法身 相を具せること三十二
  八十種好を以て 用って法身を荘厳せり
  天人の戴仰する所 龍神も咸く恭敬す
  一切衆生の類 宗奉せざる者なし

 

  △引仏為証 (仏を引いて証と為す)

 又聞成菩提 唯仏当証知
 我闡大乗教 度脱苦衆生

  又聞いて菩提を成ずること 唯仏のみ当に証知したもうべし
  我大乗の教を闡いて 苦の衆生を度脱せん



◎舎利弗疑難 (舎利弗の疑難) [是三蔵権意]

 ○総叙難信 (総じて難信を叙す)

爾時舎利弗。語龍女言。汝謂不久。得無上道。是事難信。所以者何。女身垢穢。非是法器。云何能得。無上菩提。仏道懸曠。径無量劫。勤苦積行。具修諸度。然後乃成。

 爾の時に舎利弗、龍女に語って言わく、
 汝久しからずして無上道を得たりと謂える。是の事信じ難し。所以は何ん、女身は垢穢にして是れ法器に非ず、云何ぞ能く無上菩提を得ん。仏道は懸曠なり。無量劫を経て勤苦して行を積み具さに諸度を修し、然して後に乃ち成ず。

 

 ○釈出五障 (五障を釈出す)

又女人身。猶有五障。一者不得。作梵天王。二者帝釈。三者魔王。四者転輪聖王。五者仏身。云何女身。速得成仏。

 又女人の身には猶お五障あり、一には梵天王となることを得ず、二には帝釈、三には魔王、四には転輪聖王、五には仏身なり。云何ぞ女身速かに成仏することを得ん。

 

 ○龍女釈答 (龍女の答釈) [是円意]

  △献珠表得円解 (献珠円解を表す)

爾時龍女。有一宝樹。価直三千大千世界。持以上仏。仏即受之。龍女謂智積菩薩。尊者舎利弗言。我献宝樹。世尊納受。是事疾不。答言甚疾。女言。以汝神力。観我成仏。復速於此。

 爾の時に龍女一つの宝樹あり、価直三千大千世界なり。持って以て仏に上る。仏即ち之を受けたもう。龍女、智積菩薩・尊者舎利弗に謂って言わく、我宝樹を献る。世尊の納受是の事疾しや不や。答えて言わく、甚だ疾し。女の言わく、汝が神力を以て我が成仏を観よ。復此れよりも速かならん。

 

  △正示因円果満 (因円果満を示す)

当時衆会。皆見龍女。忽然之間。変成男子。具菩薩行。即往南方。無垢世界。坐宝蓮華。成等正覚。三十二相。八十種好。普為十方。一切衆生。演説妙法。

 当時の衆会、皆龍女の忽然の間に変じて男子となって、菩薩の行を具して、即ち南方無垢世界に往いて宝蓮華に坐して等正覚を成じ、三十二相・八十種好あって、普く十方の一切衆生の為に妙法を演説するを見る。

 

 ○時衆聞見得益 (時衆の得益)

  △見聞

爾時娑婆世界。菩薩声聞。天龍八部。人与非人。皆遥見彼。龍女成仏。

 爾の時に娑婆世界の菩薩・声聞・天・龍・八部・人と非人と皆遥かに彼の龍女の成仏して、

 

  △歓喜

普為時会。人天説法。心大歓喜。悉遥敬礼。無量衆生。聞法解悟。得不退転。無量衆生。得受道記。無垢世界。六反震動。娑婆世界。三千衆生。住不退地。三千衆生。発菩提心。而得授記。

 普く時の会の人天の為に法を説くを見て、心大に歓喜して悉く遥かに敬礼す。無量の衆生法を聞いて解悟し不退転を得、無量の衆生道の記を受くることを得たり。無垢世界六反に震動す。娑婆世界の三千の衆生不退の地に住し、三千の衆生菩提心を発して授記を得たり。

 

 ○智積舎利弗黙然信受 (智積舎利弗の信受)

智積菩薩。及舎利弗。一切衆会。黙然信受

 智積菩薩及び舎利弗、一切の衆会黙然として信受す。

 


← 妙法蓮華経見宝塔品第十一 |法華経解説トップ妙法蓮華経勧持品第十三 →


ホーム法華経解説法華仏教仏教作者についてメール