天台法華仏教の開祖 と インド仏教経典の名翻訳者
の遺跡訪問
平成8年(1996)は天台大師智(ちぎ)(538-597)の1400遠忌だった。天台法華仏教を基礎としている私にとって一期一会の機会とばかり、日蓮宗の企画した天台山参詣の旅に参加した。
天台山に参詣するだけでなく、北京→西安→杭州→天台山→上海という旅行だった。
天台大師の霊跡 国清寺
天台大師を知らない方でも日本の天台宗は御存じであろう。日本の天台宗は遣唐使の伝教大師最澄(767-822)
がこの中国の天台宗からもたらしたものだ。
天台法華仏教の実質上の開祖である天台大師が隋の時代に開創したお寺、それが天台山国清寺というお寺である。また、伝教大師最澄が遣唐使として留学したお寺である。その国清寺に参詣してきた。インドの仏跡とならんで、私が一生に一度は参詣したい場所の一つであった。
鳩摩羅什の霊跡 草堂寺
また、天台山に参詣するまえに、西安(長安)郊外にある草堂寺というお寺に参詣した。ここは鳩摩羅什(350-409頃)が『法華経』を翻訳した霊跡である。鳩摩羅什は超宗派で有名な仏教経典翻訳家である。『妙法蓮華経』(=法華経)だけではなく『阿弥陀経』『大品般若経』『維摩経』『大智度論』『中論』など多数の経典をインドの原典から漢訳(中国の言語に翻訳)し、その訳は名訳とされている。
右の地図を見ていただければわかると思うが、天台山国清寺
は上海の南方。杭州や紹興の近くにある。また、鳩摩羅什由緒の草堂寺
は中国の内陸にある西安(長安)の郊外にある。
少ない旅の情報
さて、日本仏教にとって欠くことのできない霊跡である天台山国清寺や西安郊外の草堂寺であるが、詳細な旅行資料は本当に少ない。個人旅行者のバイブル「地球の歩き方」を見ても詳しくは載っていない。そこで、とくに団体旅行者のみならず個人で参詣する方を念頭に置いても執筆した。同時にこの文章は、筆者が天台山や草堂寺を再訪するための備忘録でもある。
旅行時期 平成8年晩秋
(平成14年8月改訂)
多くの写真はクリックすると高精細な写真が表示されるよう設定した。
|