南インド仏教遺跡
(デカン高原横断)


はじめに

エローラ

アジャンタ

ナーガルジュナコンダ

アマラバティー

番外編


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アジャンタ(Ajanta)


 

 オーランガバードから北へ100kmあまりのところにアジャンタの石窟寺院群がある。
 アジャンタは紀元前1世紀から紀元後5世紀頃に掘られた石窟寺院群だ。私はエローラよりもこのアジャンタの方が感動した。すべてが仏教寺院であることと、素晴らしい壁画が残っていることなどによるものだ。

 さて、このアジャンタはエローラよりも露店の客引きが強引なので注意が必要である。名前を訊いてきて(もちろん教えない)、執拗に勧誘をしてくる。このまま露店まで引っ張って行かれたら強引な売り込みは必定であるし、露店には見るべきものはなかったように観測された。土産はオーランガバードのちゃんとした店で買った方がよさそうだ。私はオーランガバードに帰ってから土産にヒムロー織りという織物を買った。この織物はこのあたりの特産品らしい。私の買ったのは 50cm×120cm くらいの手織で、えんじ色の模様に金糸をたくさん織り込んである豪華で綺麗なものだった。($48)

 さて、エローラもアジャンタも歩く距離はたいしたことはない。余程の運動不足で無い限り苦痛ではないだろう。

少し傷んだ石窟 ワゴラー川河畔の石窟寺院群が見えてきた

暗くてわかりづらいが素晴らしい壁画が描かれている
第1窟内の有名な蓮華手菩薩像

暗闇の中の仏像は余計に立派に見える

何の印相だろう? 左の仏像の下にある彫刻(蓮台はない)

宝冠をしているから仏像ではないのだろう 少し手ぶれしたが暗い中で壁画を撮った
壁上部の彫り物と天井画が素晴らしかった 千仏の壁画
天井の幾何学紋様と仏教画のハーモニー なかなか思った場所が照明されない
左は鬼子母神、右は大黒天と説明されたが 左の神祇像の足下の彫刻

こちらの壁面にもたくさんの仏像が描かれている 柱の上部から天井画までほんとうに荘厳

壁画保護のためのガラスケース 大きな石窟内のストゥーパ

どうしてストゥーパが室内にあるのだろう ストゥーパのまわりの柱の壁画
U字状の谷に沿って石窟群が広がる この壁画も保存状態が良い

仏像と菩薩像が並んでいるのは迫力があった 今にもお説法を始めそうな気さくな仏陀を感じた
千数百年前の壁画とは信じられないくらいの壁画
往時はもっとカラフルだったのだろう
大きな傘蓋(さんがい)が特徴的なストゥーパ
天井は木造に模して造られているのだろうか 石窟の外の彫刻も素晴らしい
ワゴラー川 7.3mに及ぶ涅槃像の頭部分(第26窟)

ストゥーパ(第26窟) 涅槃像のすぐ近くに太い柱がある(第26窟)
涅槃像の足下からのショット(第26窟) この窓のお陰で石窟内は明るかった 不思議な壁画




● ガイドブック

 このアジャンタも世界文化遺産に指定されている。詳細につきましてはガイドブックを参照して欲しい。なお、現地には香港製の英文の写真ガイドブックが売っていた。

OUR WORLD IN COLOUR
AJANTA & ELLORA
Local Colour Limited

 ただし、これとて現地の売店は値引き交渉が必要だ。一流ホテルの売店です同じだ。私は Ru 400 という言い値から値切って Ru 300 にしてもらった。定価は 6.95 ポンド(英国)だ。



● 参考となる旅行ガイド

地球の歩き方 '98〜'99版 Bインド P482 - P488
ブルーガイド 海外版 28 インド P215 - P217


● 必須の明るい懐中電灯

 アジャンタの石窟は壁画が素晴らしい。ただ、石窟内を照明はしてあるが、絶対的な明るさが足りない。じっくり、壁画を鑑賞する方には明るい懐中電灯が必須だ。ペンライトなどは論外で、私の持参した比較的高性能な単三電池2本のマグライトでも照射量が足りなかった。また、転けないように足下を照らすためにも懐中電灯は便利だった。また、懐中電灯はインドでよくある停電でも功を奏する。



● 現地の日本語ガイド

 私達一行をガイドして下さった現地のインド人はシバウエさんという方だった。日本語は上手で、日本の仏教用語もよく御存知だった。そして、壁画の詳細なことまで教えて下さった。他にも、足の少し御不自由な杖をついた日本語ガイドさんも見かけた。こちらも日本語が上手そうだったが、このガイドさんはアジャンタの途中までしか行って下さらないそうだ。



● 第2窟の鬼子母神と・・・大黒天?

 現地ガイドのシバウエさんは第2窟の奥の右側の夫婦の神様を鬼子母神と大黒天だと説明した。しかし、私は鬼子母神と大黒天が夫婦だという話は聞いたことがない。もちろん、日蓮宗では鬼子母神と大黒天を仏壇の左右に祀ることが多いのであるが・・・。

 鬼子母神はサンスクリット(梵語)で Hariti ハーリティという。調べれば、この鬼子母神は鬼神王般闍迦(Pancika パーンチカ)の妻とある。この鬼神王般闍迦は財宝の神様であるから大黒様と同じ御利益があるのかも知れない。しかし、大黒天はサンスクリット語で Mahakala 摩訶迦羅であり、別の神様ではないかと思うのですが如何か。



● 仏像はお釈迦様ばかり

 現地の日本語ガイドの情報が正しければ、エローラやアジャンタの仏教寺院の仏像はお釈迦様ばかりだ。もちろん、過去七仏、菩薩像、神祇の像などもある。ある壁に千体の仏像が描かれていれば千体ともお釈迦様である。当時の仏教徒のお釈迦様を恋慕する気持ちがヒシヒシと伝わってきそうな光景だった。

 日本や中国では、仏像は多様だ。お釈迦様(釈迦牟尼仏)、阿弥陀如来、大日如来、薬師如来・・・・。でも、私の訪れた仏教遺跡では仏の像(菩薩像や神祇ではない)は圧倒的にお釈迦様だった。曼荼羅をあらわす壁面に描かれた仏様も大日如来ではなく、お釈迦様(ゴータマブッダ)だと現地ガイドは説明していた。釈迦を本仏とする法華経を信仰する私としては嬉しいような気持ちだった。アジャンタが五世紀以前の遺跡であればまだ大日如来の密教は完成していないのだろう。



● ビールが飲める

 ガイドブックのいうトラベラーズ・ロッジなのだろうか。ここでは、客引きから逃れてゆっくり食事し、昼からビールを飲むこともできる。暑さの中で歩きまわったあとのビールは最高だった。現地の日本語ガイドさんも一緒に飲んだ。インド人は人前であまりお酒を飲らないと聞いていたのだが。



● 10ルピー札がたくさん必要?

 石窟の至る所にレフ球で照明をして下さる職員がいる。彼らのお陰で、暗い石窟内で壁画や仏像を拝み、転ばないように足下を見ることができる。しかし、彼らが個別の親切をしたときはチップを要求してくる。写真を撮るときに照明して頂いたり、英語で質問して解説してもらったりしたときは私も10ルピーずつ払うことになった。

 あと、仏像の前でお賽銭のつもりで供えた10ルピーも彼らはポケットにしまい込む。信仰の国インドにして信仰上の倫理などないのだろうか。また、10ルピーでは不足だと文句を言う厚かましい職員もいたが余程のことをお願いしない限り無視した。

 とにかく、写真フィルムと10ルピー札のたくさん必要なアジャンタとエローラでした。因みに10ルピーは33円ほどです。



● View Point からの全景

 アジャンタの全景を見下ろす場所は2ヶ所あります。そのうち高い方の View Point に立ち寄ることになった。しかし、バスが出発してから数分経っても到着しない。アジャンタの遺跡から見るとそんなに距離はないのに・・・。
 予定が変更されて中止されたのかと諦めているところに View Point に到着する。アジャンタが発見されたとき、この一帯はジャングルだったとか・・・。今からは想像も出来ない。




★現地情報
ビデオカメラ持ち込み Ru 25
石窟内のビデオ撮影は禁止
石窟内の写真のフラッシュ撮影は禁止
 (自動カメラの場合は発光しないように使用方法を習熟しておくこと)
ASA 400 以上の高感度フィルムは必須
 (ASA800-1600とF2以上のレンズを推奨)
禁止事項に違反した場合は別室で取り調べを受けるとか

★ おことわり

携行したカメラは35mmフィルムの全自動の小型カメラであり、旅行同行者に迷惑をかけない程度の限られた時間と行動範囲で撮ったものである。写真の拙さは勘弁して頂きたい。