仏教の基礎、原始仏典、法華経などは決して難しいものではありません。
仏教というと取っつきにくい「空」について学ばなくてはならないと思っている方も少なくないかも知れませんが、日蓮宗では「空」に深い入りする必要はありません。それらを必要とするのは中観思想や唯識思想といった難解な仏教であって、これらは専門家向けで一般的ではありません。
四諦、八正道、三法印などのインド仏教の基礎と、インド仏教史など大雑把にでも学ぶことは難しいことではありません。
法華経については出来れば原文にあたって力に応じて学んで下さい。法華経には難解な教理は説かれておらず、むしろ「たとえ話」などを通じて万民にわかりやすく説かれた教えです。書き下し文や専門用語に慣れれば読み進むことができるでしょう。
日蓮聖人については御遺文を通して学ぶことになります。ただし、日蓮聖人の遺文には偽物が多く存在しており、真跡が現存するものなど確実なものを読む必要があります。
その他、釈尊が入滅してから早い時期に成立したと考えられている原始仏典を読むことをお勧めします。パーリー語和訳の読みやすいものがよいでしょう(後述)。
さて、これらのことを学んで一般教養にしかならないのであれば他の習い事や学問と同じかも知れません。しかし、仏教を学ぶ意義はお釈迦様の教えに触れて、
私達が生きている限りそこに満ちている苦に対する教示を頂くことです。
そのような本物の仏教に触れたとき、従前の御自身の仏教観が、如何に誤解し無知であったかを気づくことにもなりましょう。
法華経
・法華経新講 久保田 正文 大法輪閣 \2,500
昭和36年の発刊ですが、伝統的な法華経解釈の要点を解りやすく解説してあります。
・法華経 上 中 下 坂本 幸男 /岩本 裕 訳注 岩波書店
\760〜860 \1200(ワイド版岩波文庫)
漢文の妙法蓮華経の書き下しと、サンスクリット語の法華経から直接和訳した訳文が左右見開きで見られます。専門家のリファレンスという範疇かもしれませんが、文庫本なので安価で入手しやすいです。文庫本よりひとまわり大きいワイド版もあります。
仏教に限らず、原典に自ら触れることは大切なことだと考えます。
日蓮教学
・日蓮辞典 宮崎 英修 東京堂出版 \3,200
辞典ですが、項目数が厳選されて少なく、読み切ることも可能。日蓮教学の要点が網羅され、それらを簡要に述べられています。日蓮研究の入門書の定番。
・日本の仏教思想 日蓮 筑摩書房 \1,800
日蓮聖人の代表的な著作の書き下しを上段に、その現代語訳を下段に配置してあり読みやすい。また巻頭には日蓮聖人の生涯と思想が簡要に述べられている。一般の方でも読み切られる分量だと思います。
仏教一般
・ブッダのことば スッタニパータ 中村元/訳 岩波書店 800円
・悪魔との対話 中村元/訳 岩波書店 760円
・神々との対話 中村元/訳 岩波書店 700円
・ブッダの真理のことば感興のことば 中村元/訳 岩波書店 760円
・ブッダ最後の旅 大パリニッバーナ経 中村元/訳 岩波書店 660円
これらはいわゆる原始仏典です。中村元先生のパーリー語和訳は解りやすく、読みやすいものです。註はかなり学術的ですが、値段も安く文庫版ですので一度挑戦されては如何でしょう。中村元先生の解説のテープを入手してから筆者はファンになりました。
・NHK
こころを読む仏典 中村元 日本放送出版協会 カセット13巻
原始仏典から大乗仏典に至るまでの経典の要点を中村元先生が平易に講義しています。
・NHKカセット
東洋の心を語る 中村元/奈良康明/金光寿郎 NHKサービスセンター カセット12巻
奈良康明先生が聞き手となって中村元先生が平易に講義をされるという豪華な設定。昭和63年度に教育テレビで放映された「こころの時代」をカセットにしたもの。仏教に説かれる東洋のこころは何度聞いても味わい深い。また、最後の1巻は金光寿郎氏が中村元先生にインタビューされているのは中村先生のファンにとっては興味深い内容です。
・ブッダの言葉 中村元 新潮カセット 2巻 \2,800
先述のスッタニパータについて原文を引用しながら中村元先生が平易に講演されています。これを聴かれると、原始仏教の勉強になりますしスッタニパータのファンになるかも知れません。
・ブッダの生涯 中村元 新潮カセット 2巻 \2,800
中村元先生ばかりで申し訳ないですが、2つの新潮カセットで私は中村先生のファンになりました。このカセットの内容はお釈迦様の一生を講演されたものです。伝説よりもインド仏教学の立場から述べられています。