檀信徒の檀は檀那のことで、檀那とはダーナ(dana)というインドのサンスクリット語の音写です。元々は「施し」という意味で、わが国では、寺院や僧侶の活動を支える施主です。檀家といえば、寺院を支える基礎単位としての世帯となります。
家毎に菩提寺が定まっている檀家制度は江戸時代の寺請制度にはじまります。
島原の乱の直後、寛永15年(1638)頃からのことで、幕府の法律で檀家が寺から離れるのを禁じられたそうです。キリスト教禁令の施策のひとつでしょう。その寺請制度の名残が現在にも根強く残っています。
ただ、このような硬直的で義務的な寺檀関係というものは、檀家だけでなくお寺にとっても問題を提供しています。地域の神社への氏子加入が「地域の宗教」なら、菩提寺での死者儀礼は「家の宗教」。
ところが家族それぞれの信条は全く別のところにある・・・そのような事例が増えつつあります。
このような寺檀関係のため、たとえお寺の経済的状況は良好でも、仏教の道場としてのお寺としての機能が麻痺してしまっている寺院が少なくないかも知れません。
単に死者儀礼や祈祷などに終始することなく、自身の境遇や能力そして興味の度合いに応じて仏法を無理なく実践して頂ければ幸いです。何故かというと、生きることに必然的にともなう苦
について仏法は説いているからです。
お寺をとおして、そのような本来の仏教に目覚め精進して頂くことを住職は期待するものです。