インド サンチー仏舎利塔

3泊5日のインド旅行 平成24年(2012)3月

●何故サンチーか

 四大仏跡、アジャンタ、エローラ、アマラバティーに行ったことがある。あと、行きたいところはサンチー、ブッダガヤ近郊の前正覚山、ラージギルの結集跡、ヴァイシャーリ、スリランカであった。仏教関係以外では、タージマハールとジャイプールに行きたい。その第一弾として、サンチーを選んだ。というより、次はサンチーというのが長年の夢だった。

 お釈迦様滅後のインドにおいて、お釈迦様の象徴はストゥーパであった。その完全な姿のストゥーパを私は拝んだことはない。ほぼ、昔の姿に復元されている唯一のストゥーパ。それもアショーカ王の建立が起源のストゥーパ、そしてその素晴らしいレリーフの彫刻群を私はこの目で見て拝みたかった。


●移動時間28時間の強行軍?

 関空バンコック間が6時間、バンコック・ニューデリー間が4時間半、ニューデリー・ボーパール間が1時間半。しかも、バンコックでの待ち時間が3時間。ニューデリーでの待ち時間が7時間。これだけでも計22時間。そこへ、家から関空までの時間と、関空でのフライトの待ち時間を入れ、ボーパールの空港からホテルを入れると28時間の移動である。

平成24年(2012)3月26日(月)

●ニューデリーでの乗り換え時間

 そういっても、ニューデリー空港で7時間もボーッとしているのは勿体ない。手配してくれた旅行社にガンジー記念館やインド博物館の打診をしたが、月曜日休館で没。グルメはこの時間帯では無理とのこと。そこで旅行社からの提案はアーユルヴェーダ体験である。普段の疲れと、旅の疲れを癒せそうだし、興味もあってこれに決めた。

●クトゥブの塔の見学

 時間的にアーユルヴェーダと昼食だけで時間がつぶれそうだったが意外にも観光できて良かった。前回のニューデリーは通過しただけだった。古くて高い尖塔。でもそれだけではない。本体や周りの建物の彫刻が素晴らしかった。インドに来ても仏教以外の遺跡にあまり興味はないが、これは凄いと思った。

●アーユルヴェーダ体験

 ル・メリディアンというニューデリーの高級ホテルの「アマットラ」でアーユルベーダを体験した。ニューデリーの官公庁街の間近にあるホテルで、車はエンジンルームのセキュリティーチェックがあり、人間も空港と同じようなセキュリティーチェックがなされる。それにしても、今時の車のエンジンルームに爆弾を仕掛けるようなスペースはあるのだろうか? いや、小型高性能爆弾なら可能なのだろうか?

 ともかく、日本だったら気後れしそうな高級ホテルの中に「アマットラ」というアーユルヴェーダ体験の出来る場所がある。

 ホームページから引用すると、古代インド科学アーユルヴェーダ、宇宙科学のアストロヴェーダ、そして21世紀のテクノロジーと設備を組み合わせ、スパによりお客様のエネルギーを調和させ、バランスをはかるのだそうだ。

 時間か選択したメニューによる制限かホームページにある専門家チームによる診断というのはなかった。

●ボーパールへ

 ニューデリー空港の国内線のターミナルに行った。Window ? と訊かれたが要するに窓際を希望するか?との質問だった。ただし、窓際でも窓のない席だった(笑)。機材は片側3席のタイプでトイレが近い人は通路側に座るべきであろう。

 あと、手荷物すべてに日付印の押されたタグをつけていないと、搭乗時にチェックを受けてしまう。この点は知らなかったので、お世話を戴いた旅行社の方に感謝である。

 ニューデリー空港は広いので、駐機場を離れてから離陸するまでに時間がかかる、1時間半程度のフライトだと、そのうちの何割かが空港内の飛行機の移動時間である。

●ボーパール空港

 近代的なデザインの綺麗な空港だった。ただし、タラップから降りて空港ビルまで歩かされる。日没後すぐの薄明るい時間帯。空は紺色、暑いものの暑すぎず気持ちがよかった。いや、気候や風景よりも、ここまで無事に着いたという感慨であろう。

 荷物を受け取り、外に出ると運転手さんに会えた。空港から少しの間は暗い直線の道であるが、ほどなくするとインド特有の活気に満ちたゴミゴミした町並みに入る。空港の近代的デザインとは対照的である。

 ボーパールは日本より広大な中部インドの州の州都である。暗闇の中の道の左右にその賑やかさと活気が伝わってくる。市街地はインド独特のリスキーな運転である。湖の湖畔の●というホテルにチェックイン。

●夕食

 周りの少しゴミゴミしたところから隔離されたような別世界の高級ホテルである。ヴァウチャーを見せてチェックインしてすぐに夕食にした。イタリアンとインド料理があったがもちろんインド料理を選択。レストランのテラス(屋根はあるが)の一番外側を選んだ。

 私はエビの特製ソースの前菜(といってもケチャップにマヨネーズをベースにしたもの)、マトンの煮込み料理、家内は焼きそばとマッシュルーム・カレー、そしてナンを注文した。美味しかったが食べきれなかった。

 インドの生ビール、インドの白ワイン、インドの赤ワインを飲んだが、全てエクセレントだった。インド産ワインがそこそこ美味しかったの意外(といっては失礼か)だった。

●お湯のでない風呂

 こんなに立派で美味しいレストランもあるホテルなのに、お湯が出ない。数分待ってもお湯がでない。お風呂は諦めた。アーユルヴェーダでスチームサウナをしたし…。

●インターネット

 チェックイン時に無線LANを申し込むとボーイさんが、IDとPassを書いた紙を持ってきてくれた。そこそこ快適にアクセスできた。


平成24年(2012)3月27日(火)

●朝食

 バイキングだった。欧米のホテルみたいなメニューもあるが、地元ならではのメニューもいろいろあった。もちろん、後者を一通り試した。鶏肉が苦手な家内がソーセージを食べたが、実はこれ鶏肉ソーセージであった。(笑)

●下痢対策

 過去二回のインド旅行で二回とも下痢をしたが、今回は用心している。まず、インド旅行の一週間前からヤクルトやジョアを飲み、残しても良いから食べ過ぎないようにして、食後は必ずビオフェルミンを三錠ずつ飲むこれを励行した。

●サンチーへ

 サンチーは車で1時間ほどである。前日に運転手さんとの打ち合わせで10時に迎えにきて頂いた。私の旅行にすれば出発時間が遅いのであるが、前日28時間もの移動をして疲れていたことと、到着時間が遅かったこと、普段の疲れが残っていることで遅めの出発とした。

 道中は、昨日空港から来た湖畔の道とゴミゴミした市街地を引き返した。そして、陸橋を渡らずに左折。そして郊外の快適(比較的)な道を70-80km/hで巡航する。だだっ広い平野と低い大地を駆け抜け約1時間15分くらいの移動である。

 昼前にサンチーに到着、昼食をとってすぐに観光しようとしたら、ホテルのスタッフから暑いから2時以後にしろとアドバイスを受けた。それもそうだ、2時でも暑そうだが。

●仏舎利塔へ

 歩いて1kmとのことだが、手配した運転手が連れて行ってくれることになっていた…ようだ。まわりの町並みをみると、日本人の身なりで不用心に歩くのははばかられるような雰囲気もあった。右折する交差点のあたりだけだが。そうそう、ストゥーパ周辺にはライフルを持った警備員もいるから治安上の問題もあるのかも知れない。

 道の途中に脈略もなく入場料を支払う場所がある。車が停まり運転手から入場料を支払ってくれとのこと、250ルピーもする。あとから気づいたが、これはミュージアムの入場料込みのものであった。この日はストゥーパ周辺の観光(参拝)だけにした。

 入り口でセキュリティー・チェックがあった金属探知機があるのだが、これは動いていない。愛想のない30歳代の女性職員に鞄の中を見せろと言われる。三脚は使用禁止ということで、事務所があずかるとのこと。そして、彼女は私の仏具を見て注意した。音を出すのはダメ!なのだそうだ。木鉦と鈴を使わないといって預けるのは免れた。

 世界遺産であるが仏教の聖地でもある。そこで仏教徒が法具を用いて拝めないなんて、そんな馬鹿な話しがあるかと少し残念な気持ちになった。

 入り口からはよく整備され手入れされた石の道と芝生がある。その先に憧れのストゥーパが建っている。左手前が第三塔、右奥が第一塔の大塔。もちろん、まず第一塔の大塔を目指す。感涙ものである。ストゥーパ本体の漆喰ははがれているが、三重の傘蓋(さんがい)があり、手前に北側の鳥居のような入り口がある。思ったより背が高い、思ったより深く、思ったより細かいレリーフである。

 外側の写真を全体、部分、それぞれマメに(オタッキーに?)撮りながら右回りに一周して、次は欄楯(らんじゅん)の中を一周しながら写真撮影、次は上の段に登って鳥居のような門の内側の彫刻を詳細に撮って回った。
 レンズは55mm(35mm換算で83mm)だったが緻密に撮るにはもう少し長い望遠が必要だった。広角側は17mm(35mm換算で26mm)で十分だった。

 そして、影で休んでから今度は第三塔へ。ここは、舎利弗尊者と目連尊者がかつてまつられていた場所。ここでハプニング。

●レキサーのSDHCカードにトラブル

 私はサンディスク製のCFカードに記録しているつもりが、サブのSDHCに記録していていたようだ。それも旅行の最初から。この時点で突然書き込みはおろか読み込みもできなくなってしまった。今までの撮影が水の泡。熱帯の午後の日照りと暑さの中で疲れがどっと出てしまった。(夜にホテルに置いてきたノートパソコンでも読み込めなかった。せめて昨夜の内にそれまでの撮影をノートパソコンにコピーか移動しておくべきだった。今後はサンディスクか日本製のメモリカードしか買わないことにする!

(後日談)帰国後すぐにネットを探してクラッシュしたSDHCを読み取るソフトを見つ復旧できた。

●撮り直し

 ともかく、CFカードは問題ないからそちらで撮り直した。外を一周、欄楯(らんじゅん)の中を一周、上段から鳥居?の内側を4箇所。そして第三塔。ここで、休憩。

●昼食

 チーズカレーを注文したが美味しかった。

●詳細な鑑賞

 そして気を取り直して、レリーフを改めて鑑賞した。往路の機中や乗り換え時間に予修したことを振り返りながら家内にレリーフ(浮き彫り彫刻)の意味の要約を説明しながら自分も理解していった。

 鳥居の様な門の内側や外側の上の方の詳細な彫り物は、ミュージアム・スコープ(単眼鏡)がないと詳細が見えないほど細かな彫刻である。ちなみにミュージアム・スコープはホテルに置いてきてしまった。

 まあ、ともかくこの日はストゥーパを7周はした。右繞三匝(うにょうさんそう)である。ゆっくり鑑賞できた。運転手さんが6時に迎えに来ているのに、6時15分まで待たせることになった、4時間15分で第一塔と第三塔はゆっくり鑑賞できた。

 閉館の日没は6時半(実際の日没はもう少し後?)。その時間にアカネ色に染まる仏舎利塔、あるいはアカネ色の空をバックにシルエットを映し出す仏舎利塔、黄昏時の紺色の空をバックにしたフラッシュ照明を受けた仏舎利塔を撮りたかったが、どうも日没ではなく6時半に閉館だから実現しそうになかった。

●夕食

 フィッシュ・カレーもマトン・カレーも出来ないということ。というわけでチキン・カレーを食べた。鶏がだめな家内は昼とは違うチーズとドライフルーツのカレー。双方とも美味しかった。

 熱帯の炎天下、午後2時から日没近くまで歩き回ったのでビールが美味しかったのは言うまでもない。レストランで二本飲み。部屋に一本持ってきてもらって飲んだ。夕食も部屋で食べられるのだったが、テーブルが低いしメニューについて相談してからオーダーしたかったのでレストランで食べた。

●二日連続風呂に入れない

 部屋にはエアコンもあり、外にはハンモック。新しくはないが快適そうである。ただし、照明は暗くエアコンやトイレの換気扇はうるさい。そして、お湯を沸かす電熱装置がシャワーの上についているが、ついぞお湯は出なかった。バスタブはなくシャワーだけ。シャワーは固定式でしかも、「使えません」とばかり真横に向けてある。あるのは蛇口とバケツと手桶のセット。結果二日間お風呂に入らないことになった。

●汽笛

 線路と駅が近くで列車の汽笛の大音声が数十分おきに鳴ってゆっくり寝ていられなかった。幾度となく目が覚め、時計を見て寝直す。疲れているからスグ眠られる。この繰り返しだった。


平成24年(2012)3月28日(水)

 朝4時に起きた。荷物整理をして、充電器具すべてをフル充電して、ガイドブックを読んでいたら朝7時前になった。7時前に朝食のテラスに行くとすでに二組ほどが朝食をしていた。朝食はバタートーストとタマゴ料理のみ。食べ過ぎの傾向があるので、かえってこれで良かったと思う。タマゴの焼き具合を訊かれた。片面焼きか両面焼きか…過去2回のインドでの下痢を思い出して、もちろん両面焼きにしてもらった。

 この日は再度、サンチーの仏舎利塔を拝観した。ビハーラ寺院を参詣し、ボーパールまで戻って列車でアグラに向かい一泊。


平成24年(2012)3月29日(木)

タージマハルを観光して、ニューデリーまで帰り、空路帰国した。
25日(日)夜に家を出て、3泊5日の強行軍だった。

苦滅の仏法 その本質へ